「測量船」 三好達治 講談社文芸文庫
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
この有名な詩「雪」が収録されているのが、昭和5年に発表されたこの「測量船」です。
私が読んだのは恐らく中学の時の国語の教科書に載っていたものですから、発表から50年は経過していたということになります。当時から詩の中では随一の知名度だったことでしょうが、2行からなるシンプルさゆえに、人それぞれに解釈を許してきたことでも、また随一の詩であることでしょう。
わたしは、雪がしんしんと降る夜、すべてが眠りについた山間の村を思い浮かべます。子どものころ生まれて初めて夜に降りはじめた雪を見た記憶(祖父の今夜は積もりそうだなという言葉や世界中の音が吸い込まれて行くような感覚やなにか)、そして雪が降り積もった翌朝の記憶を呼び起こす詩です。
で、この測量船には、モダニズムの影響を受けたような詩もたくさん収録されていて、作風の幅広さにはちょっと驚かされます。そばに置いておいて折に触れとりだして、朗読したい詩集です。
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