「陰陽師 安倍晴明」 志村有弘
夢枕版の陰陽師は全然読んだことない私ですが、野村万斎の映画はテレビ放映を観ました。一時期はブームとなるほどでしたが、どのあたりが人気の秘密なんでしょうか?
私は今昔物語集なんかに登場するのは、知っていましたが、この本を読んで、謡曲などの題材として多く扱われ、古来から民衆の人気があったという事をしりました。特に信太の森のキツネの子であるという説話や、自宅にカミナリが落ちた大失態のエピソードは意外な一面でもあり面白かったです。
死者を蘇らせたりというスーパー陰陽師としての活躍は、中国の例えば封神演義などの影響が露骨に感じられ、ちょっと引いてしまいます。まあ、元々陰陽道は、中国からの舶来のものですから、当時の民衆には、中国風の演出がしっくりいったのでしょう。考えてみれば、日本でも人気の諸葛孔明に通じる所もありますね。秋の長雨には、平安京の夜の闇に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
角川ソフィア文庫 「陰陽師 安倍晴明」 志村有弘
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